さあ、1人暮らしを始めるための物件が見つかり、内見も終わり、気になる金額は・・・っというときに壁となるのが、頂いた見積書の請求金額が想定よりも高く、驚いたことはないでしょうか?
今回は、初期費用を削減するために必要な実際の交渉方法について、現役の営業マンが解説いたします。
これは、先日投稿した【初期費用を15万円削減】1人暮らしの始め方|マニュアル形式で完結に説明!【賃貸物件探し-中級編】で解説したお見積りですが、このうち最大7つの項目について金額を削減することが可能です。
その交渉方法について、本コラムの最後に台本形式で紹介いたします。 まずは、各項目についてそれぞれ「なぜこの初期費用が不要なのか」、「交渉に役立つ選択肢」を説明いたします。
「24時間安心サポート」は外しても助けてもらえる!
「安心入居サポート」「24時間安心サービス」などの名前で各不動産仲介業者で見積りに掲載されることが多いこの項目、契約書に明記されていなければ特に加入の義務はありません。 火災保険で内容としては十分ですし、防犯対策グッズはホームセンターやネットショッピングに無数にあります。
電気が点かない、鍵の回り方が悪い、などのトラブルについては、営業時間内であればサポートに加入しなくても管理会社に相談可能です。 また、トイレが詰まった場合は市町村からの紹介により地元の水道工務店で格安で対応して頂けます。なお、間違ってもポストに投函されているマグネットの業者には連絡をしないようご留意ください。
(マグネットの水道修理業者については「水道屋本舗の業務停止命令措置から見る無料のワナ【新入生、新社会人必見!】」にて解説予定です。
「ダ〇〇ン虫駆除」は不要!自分で対策可能です!
「業務用の防虫薬剤」として謳っておりますが、実態としては行っていないことが多いです。 強制ではないため、こちらも外すことが可能です。
どうしても気になる場合は、アース製薬様の噴霧剤を使うと安心して入居できます。 ダニには効くが、ゴキブリには効かない類似品等もあるため、下記の最も効果が大きいものを使用するのをお勧めします。
「銀イオン抗菌」も不要!
こちらも「業務用の消毒・抗菌加工」「光触媒コーティング」などと謳っていますが、実態は上記と同様です。
前入居者やリフォーム業者が触ったのがどうしても気になる場合は、入居時にアルコールティッシュで拭く方が自分の目で綺麗にしたのがわかるし安心です。
「簡易消火剤」の請求は論外!大家に負担してもらう!
あまり入れてくる業者はないと思いますが、これが見積り書に含まれている場合は論外です。 消火器や非常用照明などの、建築基準法や消防法で定められたものは借主(入居者)が故意に使えなくしたケースを除いて、本来は貸主(大家)が負担すべきものです。
法的根拠があるため、賃貸借契約書にもこちらの購入を義務付けることはできません。
「仲介手数料」の請求は半分まで!
不動産仲介業者によって大きく異なるのがこちらの金額です。 本来、仲介手数料は貸主(大家)と借主(入居者)から請求する分を足して、家賃の1ヶ月分となっています。また、この1ヶ月分の中に共益費は含まれません。
更に、このどちらか片方から取って良い上限は0.55ヶ月分と定めております。(宅建業法46条)
但し例外として貸主もしくは借主のどちらかに承諾を得ている場合は、片方が1ヶ月分を負担することになります。
「火災保険」の指定はできない!
火災保険などは加入の義務まではありますが、どの保険会社を使うかはこちらの自由です。 指定業者は大抵高いことが多いので、こちらで安いところを探しましょう。
お勧めは「日新火災」様や「住まいる共済」様です。
「家賃・敷金・礼金」は必要に応じて交渉!
実際に貸主(大家)と交渉が必要になるのはこの部分でしょう。
できれば礼金は戻る可能性がゼロのお金なので、最初から礼金ゼロの物件を探したいところですが、良物件に限って礼金1ヶ月分だったりするため難しいところです。 仲介業者に「家賃3000円または敷金半額または礼金半額」の選択肢を提示して、いずれかを下げて頂くようにしましょう。
ただ、ここはデリケートな部分なので交渉中に別の入居者に取られるリスクもあります。 3月は特に入居者同士の競争が激しいため、無理に狙う必要はないでしょう。
例えば、入居後の2年契約更新時に「入居時より築年数が経っているため家賃3000円または更新料半額にできないか?」と聞いても遅すぎることはありません。
「ハウスクリーニング」の請求は入居時?退去時?
最後に、削減できるわけではないですが豆知識です。
これを入居時に請求される場合は必ず「入居時に支払うので、退去時にはハウスクリーニング代は発生しませんよね?」と確認しましょう。
入居時・退去時の両方で二重請求されないよう、退去が完了するまで見積り書を保管するのをお勧めします。
実践!見積り交渉テクニック(台本形式)
上記を踏まえて、実際の交渉方法について台本形式で下記の通りまとめました。
「まずはお見積り頂き、ありがとうございます。」 『ありがとうございます。』 「頂いたお見積りの中で気になる点があったので、いくつか確認させてください。」 『どうしましたか。』 「24時間安心サポートは加入の義務はありますか。」 『契約書の特約にありますね。』 「それはオーナーから明記の指示があったからですか。」 『そうです。』 「わかりました、ではこちらは構いません。ただ、ダ〇〇ン虫駆除と銀イオン抗菌と簡易消火剤については義務ではないはずなので、外してください。」 『皆さんにお願いしている内容になります。あると安心ですよ。』 「防虫などはこちらの方で行うので大丈夫です。消火器については法的にオーナーさん負担になるはずなので、これは備えつけられていますよね。」 『ありますね。』 「さすがになかったら問題ですもんね、ありがとうございます。火災保険もこちらで選んで加入するので、後で報告しますね。それから仲介手数料なのですが、1ヶ月負担となっていますがオーナーさんから半分頂いていないのですか?」 『オーナーさんからは広告料しか頂いていないんです。』 「それって結局仲介手数料と同じことですよね、二重請求になってしまってませんか?」 『では0.55ヶ月分に金額変更します。』 「ありがとうございます。最後に、これはオーナーさんに確認頂きたいのですが、家賃3000円または敷金半額または礼金半額にできないでしょうか。OKならその日のうちに決めます。」
こんな感じでしょうか。
実際には、複数の仲介業者に相見積りを取ることで、そもそも抗菌サービス云々は含まれなくなるはずなので、上記よりも短い台本で済むはずです。(交渉するのもエネルギー使いますし。)
また、交渉は全部が全部通るとは限らないので、自分の中で引いても構わないラインを決めておくとよいでしょう。
(例えば見積り金額より3万円以上カットできたら合格とするとか、仲介手数料はカットできなくても家賃や礼金カットができればOK、など。)
相見積もりを取るのにお勧めの業者については「【仲介手数料を無料に近づける!】賃貸不動産をお得に借りられる業者3選【賃貸物件探し-番外編】」にて解説予定です。
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