2022年10月から、産後パパ育休(出生時育児休業)がスタートしました。
分割取得がしやすくなったり、事前申請の猶予が長くなるなど法整備がされましたね。
しかし現実的には、
「仕事が忙しくて長期で休めないよ!」
「自分にしかできない仕事だから同僚に頼めない。」
「男が育休取っても意味があるのかな…。」
という、法律以外の部分でお悩みではないですか?
他に取っている人がいないと諦めてしまいそうですよね。
今回は取得の前例がない会社で、3ヶ月間の育休を取ったパパの体験談をご紹介します。
部下から「育休を取りたい」と言われた上司の方も必見ですよ。
- 2022年12月に子供が誕生。
- メーカーで営業係長。
- 有給取得ほぼゼロ、残業時間社内トップクラス。
- 産後パパ育休と育児休業の両方を、合計で3ヶ月取得。
- 男性が取得するのは、会社では創業以来初。
育休に向けた事前準備・引継ぎ
育休の取得難易度は、事前準備により9割決まります。
できれば6ヶ月前、遅くとも2ヶ月前までには引き継ぎ書、マニュアルの作成を着手して業務の見える化をしてください。
僕は2ヶ月前からなのでバタバタでした…。
コツとしては下記の2点です。
- 普段からコミュニケーションをとり情報共有。
- 1人だけが担当する業務を作らず、ダブルキャスト化する。
具体的な手順として僕の場合は、下記の順番で行いました。
- 自分の頭の中にしかない業務を全て吐き出す
- その業務のマニュアルを作る
- 各業務を網羅した一覧表を作る
上記動画を参考に、下記のような一覧を作りました。
各マニュアルにはハイパーリンクを使い、クリックで飛べるように。
インフルエンザなどの病気や長期出張のときにも役立ち、組織の強さに繋がります。
育休を取らなくても、ぜひ全社員に作ってほしいくらいです。
育休取得により気まずくならない同僚・上司との接し方
育休の取得は労働者として当然の権利です。
しかし、実際に育休の取得を可能にしてくれるのは上司と同僚です。
取って当たり前と思わずに、感謝の気持ちをお忘れなく。
残された社員は代理の分だけ業務量が増えますが、それにより評価が上がるわけでもありません。
前述したとおり、業務は引継ぎができれば最低限のミッションは達成です。
ただ、引き継ぎ書を渡しただけでやったつもりにはならないでください。
むしろ、マニュアル作成のときに1つでも効率化し時短に繋げてください。
心象的には大違いになります。
育休中に仕事に出たい欲を貯めて、復帰した時に今まで以上に活躍する、という気持ちも伝えてみてください。
社員の皆さんにきちんとお礼を伝えることで復帰もしやすくなりますよ。
育休の実績がない会社へ依頼すること
- 取得にあたりどのような書類を提出すればよいか
- 希望している期間に育休を取ると賞与・昇進の評価はどうなるか
この2点は会社により異なるので、確認しておきましょう。
育休を取ると会社からは無給ですが、国の雇用保険から手当てが出ます。
健康保険・厚生年金などの社会保険も免除され、従業員・会社の負担もなくなります。
そのためには会社からハローワーク・年金事務所・社労士に届け出が必要です。
取得意向確認書・申出書などが必要か、確認した方が良いでしょう。
賞与についても、算定期間にいない分だけ減点されるのか、日割りになるのか、ゼロになるのかで大違い。要チェックです。
育休を取得してどうだったか
最後に体験談です。
結論から言うと、育休最高です!
取得してよかった!
僕は営業で部下もいるポジションのため結構忙しく、毎晩残業。
有給もほとんど取得していませんでした。
そんな中で妻の妊娠が発覚。里帰り出産も考えました。
しかし、どちらの両親とも父母や夫の介護をするかも・・・といった状況に。
兄弟姉妹も自分の子供や仕事で手一杯。
周りからの援助が望めるのか不透明で、不安でした。
「育休は、自分・奥さん・子ども、そして会社のためにも取った方が良い。」
「妻のワンオペでは絶対ムリ。」
「勤務中モヤモヤしたら中途半端な仕事をすることになる。」
という友人の言葉がきっかけで、育休を取得する前提で動くことに。
やってみてわかったのは、本当に育児は1人ではムリということです。
参考までに、産後3週間目の1日のタイムラインはこんな感じです。
赤ちゃんはとにかくよく泣きます。
ミルクが欲しくて泣くし、吐いても泣くし、しゃっくりでも泣くし、抱っこが無くても泣くし、特に理由が無くても泣きます。
深夜だと近所や家族への騒音を気にして焦ります。
結構孤独で、精神的にもピリピリします。
とにかくよく吐きます。
着替えをさせ、かぶれないように喉元を拭いてあげる必要があります。
自分が食事をするタイミングを見失います。当然、掃除や洗濯などの家事もままなりません。
おむつは、大のときは1人だと3倍手間がかかります。
母体は最低でも1ヶ月は安静にする必要があります。
出産後は肉体だけでなく精神面も不安定です。
産後1年以内の母親の死因トップは自殺という統計があります。
親戚・友人関係からお祝いの連絡が来ます。電話が来ると結構ストレスです。
…ざっと挙げただけでも、ワンオペ育児はかなり無謀です。
自分と家族の精神衛生上、きちんと育休は取った方が良いです。
育児の失敗談を夫婦で共有できるだけでも気がラクになりました!
…色々ネガティブな面を挙げましたが、育休を取って何が良かったかというと…
我が子に毎日触れ合える!
「あ、もうミルク100mlも飲めるようになったんだ~」
「今日は機嫌悪いね~。うんち出てないからか?」
「いま音がした方を見たよね!?」
「いま笑った気がする!」
こんなやりとりが毎日のようにあります。
日に日に成長を実感できるし、自分の子が一番カワイイと思う人の気持ちがよくわかりました。
時間と気持ちに余裕ができるから、余計にそう思えますね。
それでも育休取得が無理な場合
本当に育休の取得が難しく、知人の支援も難しい場合は、お住まいの役所にご相談ください。
ヘルパー派遣や、ショートステイの紹介など、選択肢が持てます。
家事代行サービスもオススメです。
僕も料理代行で1週間分の作り置きをしてもらったことがあります。
とても手際よくムダのない食材の使い方に驚きました。
どれも絶品で大助かり!
依頼するとしたら、大手のくらしのマーケットや、ピナイなどがオススメです。
出産前にお試しで依頼するのもアリです!
まとめ
法改正により、育児休業の取得がしやすくなりました。
それでも、まだまだ男性の取得率は1割強と、女性の8割台と比べると低いのが現状。
育休制度の有無と利用状況について厚生労働省が調べたところ、
「会社に制度があり、利用もしたかったが、できなかった」がトップに。
育休を取りたいのに取れないのは、多忙や自分だけの担当業務を作っているのが原因でした。
段取りをし、人間関係を良好にすることで育休の取得もスムーズなものになります。
会社的にも、育休を取らせることは成長の種になります。
引継ぎのノウハウが確立されるし、後輩も今後取りやすくなります。
特に昨今の学生は「ライフワークバランス」をかなり重要視しているので、
新卒採用で育休取得者から良いコメントをしてあげられるのではないでしょうか。
僕は営業をしている傍ら、新卒採用をしているので特に感じます。
色々とメリットの大きい育児休業。
罪悪感により最初から諦めるのではなく、準備をして誠実に意向を伝えてみてはいかがでしょうか。
コメント